季節ごとに解説|適正な湿度は何%?ウイルス対策できる基準も解説
「乾燥してたり、ジメジメしてたり…適正湿度ってどのくらいなの?」
適切な湿度が分からず、快適な生活ができていない人も多いでしょう。
湿度が高いと雑菌やダニ・カビの原因になってしまいます。逆に湿度が低すぎると、肌の乾燥やウイルスが活発になることで感染症を引き起こしてしまう可能性があるのです。
結論から言うと、適正な湿度は45%から70%と言われています。
しかし、実際は季節によって適切な湿度は変わります。あなたの部屋を快適な空間にするためのコツもこの記事では紹介していますので、ぜひ記事をご覧ください。
季節によって適正湿度が変わる!
労働安全衛生法が出している「事務所衛生基準規則」によると、空調を設けている会社の湿度は40%以上70%以下と定められています。そのため、基本的にはこの範囲で留めておけば問題ありません。
しかし、厳密に言うと季節ごとに適切な湿度は異なります。夏は湿気があり、冬は乾燥している気候帯の日本では、それぞれの季節ごとに合わせなければ過ごしやすい室内環境は整いません。
そこで、以下の湿度に合わせることをおすすめします。
【季節ごとの適正湿度】
季節 | 適正湿度 | 備考 |
---|---|---|
春 | 70%前後 | 気温が変わりやすい雨が多い |
夏 | 50%前後 | 雨が多い湿気がこもりやすい |
秋 | 65%前後 | 気温が変わりやすい雨が多い |
冬 | 45%~65%前後 | 乾燥しやすい感染症が多くなる |
季節ごとにより詳しく解説していきます。
春(3月〜5月)の適正湿度
春の適正湿度は70%前後です。
春は気温が変わりやすいのが特徴的で、雨の日も多くあります。しかし、冬の乾燥が残っていることもあるため、日によって加湿・除湿のバランスを調節することが大切です。
夏(6月〜8月)の適正湿度
夏の適正湿度は50%前後です。
夏は6月〜8月としていますが、6月は湿度が増える梅雨の時期に該当します。そのため、湿度が高くなりがちな季節です。気温も上がってくる時期なので、気温上昇×連日の雨により部屋の中は蒸し蒸しに…。
そのため、この時期は除湿機を使って積極的に湿度を下げていくことが大切です。
除湿機以外にも洗濯物の部屋干しをしない、浴室の湿気をそのままにしないなど、生活上の工夫も必要です。
秋(9月〜11月)の適正湿度
秋の適正湿度は65%前後です。
しかし、秋といっても、9月はまだまだ残暑が厳しい時期。そのため、気温が30度を超える日もあるでしょう。そういった時の適正湿度は、夏と同じように20%前後になります。
気温が高く蒸し暑く感じる場合は除湿し、不快に思わない程度であれば特別除湿をしなくても大丈夫です。
冬(12月〜2月)の適正湿度
冬の適正湿度は55%から65%前後です。
冬場は空気が乾燥するため、意図的に加湿が必要になります。部屋の中に洗濯物を干したり、加湿器を稼働させたりして適正湿度に調整できるよう心がけましょう。感染症が流行り出す時期なので、健康を保つためには湿度の調整が大切になります。
湿度を適正にすることにより、体感温度を上げることにもつながります。
湿度が高すぎると起こりうるトラブル
湿度が高すぎると以下のように多くの問題が発生します。
【湿度が高すぎると起こるトラブル】
- カビやダニが発生する
- アレルギーを引き起こす
特に夏は、湿度が高くなりすぎる可能性があるため注意しましょう。
湿度が高すぎると起こるトラブル①カビやダニが発生する
湿度が高すぎると起こるトラブル1つめには、カビやダニが発生することが挙げられます。
文部科学省が公表している「カビ対策マニュアル」には、相対湿度が70%を超えるとカビが繁殖しやすくなると記載されています。特に夏場は湿度対策をしていないと簡単に70%を超えてしまいます。そのため、適切な湿度を保つことは重要なのです。
さらに、発生したカビを餌にしてダニやシロアリが繁殖しやすくなります。ダニは健康被害をもたらし、シロアリは住宅の寿命を縮めてしまいます。
湿気が高いだけで、身体にも住宅にも悪影響があることを考えると適正湿度を保つことの重要性がわかるでしょう。
湿度が高すぎると起こるトラブル②アレルギーを引き起こす
湿度が高すぎると起こるトラブル2つめには、アレルギーを引き起こすことが挙げられます。なぜなら、湿度が高くなることが原因で発生したカビやダニを吸い込むことで、ぜん息などを引き起こす恐れがあるからです。
ただし、長期間の高湿度から生じるカビやダニといった、アレルギーの原因物質(アレルゲン)はぜん息の大敵です。高温多湿の環境は、カビやダニの繁殖にはもってこい。さらに、ダニのフンや死がいなども増え、結果としてぜん息の発作が起こるリスク増につながるのです。
(引用:環境再生保全機構 天気とぜん息の関係を知っておきましょう①(全3回))
湿度が高いと、アレルギーの原因物質が発生しやすくなるのです。
湿度が低すぎるとどうなる?
それでは、反対に湿度が低すぎるとどうなるでしょうか。湿度が適正よりも低い状態になると、下記の問題が起こります。
【湿度が低すぎることによって起きるトラブル】
- ウイルスが活発になる
- 目や喉が乾燥する
ウイルスが活発になる
湿度が少なく乾燥した状況下だとウイルスが活性化します。
厳密に言うと、ウイルス自体の力が増す訳ではなく、湿度が低いほどウイルスが空気中に滞在しやすくなるのです。この湿度が低い目安は40%以下と言われており、誰かがくしゃみや咳をした時、湿度が40%以下だと空気中を30分間も漂うことができるのです。(参照:日本生物工学会「空中浮遊ウイルスの湿度感受性に関する研究」)
そのため、感染症を予防するには適正湿度の維持が不可欠となります。2020年から2021年にかけて猛威を奮っている新型コロナウイルスや、毎年流行するインフルエンザなどの感染症は適度な湿度がある環境を維持することで感染拡大を防ぐことができるのです。
乾燥した状況下だと喉の粘膜が乾燥してウイルスが入り込みやすくなると言う研究もあります。
目や喉が乾燥する
湿度が低すぎると起こるトラブル2つめには、目や喉が乾燥することが挙げられます。
湿度が低くなることで、目や喉などの粘膜が乾燥しやすくなるのです。乾燥性鼻炎(ドライノーズ)については、「ヒト鼻粘膜上皮バリア機能の分子的基盤」などの論文で詳しく研究されています。粘膜が乾燥しているとさまざまなアレルギーを引き起こしやすくなるとも言われています。
湿度を適正に保つ方法
湿度を適正に保つためには、以下の5つを日頃から意識しましょう。
【湿度を適正に保つための5つの方法】
対策の種類 | 具体的な対策方法 |
---|---|
湿度を上げるための対策 | 加湿器を使用する 部屋干しする |
湿度を下げるための対策 | 便器や浴槽にはフタをする 除湿器を使用する 観葉植物や水槽は増やしすぎない 着た洋服はすぐにしまわない |
調湿のための対策 | 調湿剤を使用する 換気を行う 家具を壁から離す |
それぞれの方法を詳しく解説します。
湿度を上げるための対策①加湿器を使用する
部屋の湿度を適正に保つ方法1つめには、加湿器を使用することが挙げられます。特に冬場などの乾燥が気になる季節に加湿器を使用することで、手軽に部屋の湿度を上げることが可能です。
加湿器には以下の通り4通りあります。
【加湿器の4タイプ】
タイプ | 概要 | おすすめの人 |
---|---|---|
スチーム式(加熱式) | 加湿力が強く、加熱によって加湿するため雑菌などの繁殖がしづらい。一方、電気代も高く、本体が熱を帯びるため子供がいる家庭には向いていない。 | ・子供がいない家庭 ・コストよりも効果を重要視する人 |
気化式 | 水を吸い上げたフィルターに風邪を当てることで蒸発させるタイプ。電気代が安いことが特徴。 | ・電気代を安く抑えたい人 |
超音波式 | 超音波で水を霧状にするタイプ。消費電力・騒音が共に小さいことが特徴。 | ・騒音が気になる人 |
ハイブリッド式 (温風帰化式) | 気化式にヒーター機能を組み合わせたタイプ。ヒーター機能があるため、上記が冷たくないのが特徴。 | ・加湿器の冷たい蒸気が気になる人 |
ハイブリッド式 (加熱超音波式) | 超音波式とヒーター式を組み合わせたタイプ。衛生面が最も優れいている。 | ・加湿器の衛生面が気になる人 |
それぞれのメリット・デメリットを考慮して適した加湿器を選択しましょう。
湿度を上げるための対策②部屋干しをする
部屋の湿度を適正に保つ方法2つめには、部屋干しをすることが挙げられます。水分を含んだ洗濯物を室内に干すことで部屋の湿度を上げることに繋がるのです。
乾燥している冬場にバスタオル数枚を部屋に干すだけでも、十分効果は得られるでしょう。
湿度を下げるための対策①便器や浴槽にはフタをする
普段からトイレや浴槽にフタをしていない場合、中の水が蒸発して湿度が上がっていることがあります。日頃から蓋を閉める癖をつけておくことで、適正湿度になることもあるのです。
湿度を下げるための対策②除湿器を使用する
部屋の湿度を適正に保つ方法として「除湿器」の使用は効果的です。
除湿器は湿気を効率的に吸い込んでくれるため、夏や梅雨など雨が多くジメジメとした時期に最適です。湿気を含んだ空気が重く感じたり、ジメっとした空気を感じる場合には積極的に除湿器を使用しましょう。
除湿機には、以下の通り3種類存在しています。
【除湿機の種類】
除湿機タイプ | 概要 | おすすめの人 |
---|---|---|
コンプレッサー式 | 部屋の空気を冷やして湿度を水滴にして除去するタイプ。 夏は除湿能力が高いが、冬場は除湿能力が下がる。 | 夏場の湿気に苦しんでいる人 |
ゼオライト(デシカント)式 | 乾燥剤であるゼオライトで湿気を除去するタイプ。冬場でも除湿できるが、夏場の除湿は向いていない。 | 冬場の湿気に苦しんでいる人 |
ハイブリッド式 | 夏はコンプレッサー式・冬場はゼオライト式で動作するタイプ。夏場も冬場も除湿能力は一定だが、動作音と本体サイズが大きい点がデメリット。 | 全季節で湿気に苦しんでいる人 |
それぞれ得意な季節が異なるため、湿気に対する悩みごとに除湿機を選択しましょう。
湿度を上げるための対策③観葉植物や水槽は増やしすぎない
観葉植物や水槽の水は、蒸発して湿気の原因となることがあります。
特に夏場の湿気に苦しんでいる方は観葉植物や水槽を減らすことが最も効果的ですが、別部屋に置き直すなどして分散することも十分に効果的です。
湿度を上げるための対策④着た洋服はすぐにしまわない
来ていた服をすぐにクローゼットにしまうことは避けましょう。
1日着た洋服には汗などの汚れや湿気がたっぷり含まれています。湿気を含んだ服をすぐにしまってしまうとクローゼットやタンスの中にも湿気がこもってしまいます。着た洋服は洗濯をしてしっかりと乾かしてから収納しましょう。
調湿のための対策①調湿剤を使用する
調湿剤を使用することも部屋の湿度を適正に保つためにおすすめの方法です。
調湿剤とは「除湿剤」とは違い、湿度が低い時は加湿し、湿度が高い時は除湿する機能を持ったアイテムです。
一年を通して、湿度が高い時も低い時も最適な湿度にし続けてくれる点において、除湿剤よりも使い勝手が良いと言えます。
【調湿剤と除湿剤の比較】
調湿のための対策②換気を行う
換気を行うことも、部屋の湿度を適正に保つために効果的です。特に、夏場や梅雨などの湿気が多い時期には換気をすることで室内の湿気を外に排出することができるのです。
厚生労働省が出している「換気の悪い密閉空間」を 改善するための換気の方法」には、30分に1回以上、2方向の窓や扉を開けることでさらに効率よく換気が行えると記載されています。
調湿のための対策③家具を壁から離す
部屋の湿度を適正に保つ方法6つめには、家具を壁から離すことが挙げられます。なぜなら、家具を壁にピッタリと付けてしまうと家具の裏に空気が通りにくくなり、湿気が滞留してしまうからです。家具の裏側にカビが発生する恐れもあるため、壁と家具は約5㎝ほど離しておくのがおすすめです。
まとめ
人が快適に感じる適正湿度は季節によって変わります。
こまめに湿度計を見る習慣をつけ、適正湿度を保つことで住宅にカビや害虫が発生するのを防いだり、体調不良を防ぐことができます。
湿度を調整する際、調湿剤を設置すると良いでしょう。
調湿剤は空気中の湿度に応じて乾燥しているときは含有している湿気を放出し、反対に湿度が高いときは吸湿してくれます。一度設置したら長期間使用できるので、コストパフォーマンスにも優れています。
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